AI時代における自由記述分類を応用した「リスクスクリーニング」

自由記述分類・アフターコーディングAI時代の業務設計調査

2026/08/06

AI時代における自由記述分類を応用した「リスクスクリーニング」

いままで忙しくて手がつけられなかった業務の、一歩先の未来をご紹介します

調査終了後、最初の30分でリスクを見つける

自由記述には、組織にとって深刻な内容が現れやすく、

といった、選択式では把握しにくい重要な情報が含まれます。

そのため、調査が終わったら最初に自由記述欄を確認することが理想的です。
とはいえ、まとまった時間を確保するのは難しい場合もあります。

そこで、AIを活用し、30分でリスクを抽出し、深刻な声への初動対応を可能にする方法をご紹介します。

なぜ自由記述は後回しになるのか

自由記述欄には、従業員の率直な意見や切実な声が集まります。
しかし、件数が500件、1,000件と増えると、読むだけで数時間から数日かかります。

日々の業務に追われるなかで時間の確保が難しく、どうしても後回しになりがちです。
せっかく本音を集めても、対応が遅れれば逆効果になりかねません。

最初に見るべき3つのリスク

調査終了後すぐに全件を読むことが理想ですが、現実的には難しい場合が多いものです。
そこで当社では、緊急度の高い3つのリスクだけを先に抽出する「リスクスクリーニング」をお勧めしています。

以下の3項目についての記述の有無をAIで確認することで、初動対応に必要な情報が30分で揃います。

1. 法的リスク

訴訟・告訴・告発の示唆、弁護士や労基署への言及、損害賠償請求、契約違反・法令違反の指摘など。

対応が遅れると企業責任に発展しかねないため、最優先で確認すべき領域です。

2. メンタルヘルスリスク

自殺・自傷・消失願望、精神的な限界を示す表現、継続困難なほどの抑うつなど。

人命に関わる可能性があり、見落としが許されない領域です。

3. 個人特定リスク

実名や役職付きの個人名、部署と行動の組み合わせで個人が特定できる記述など。

取り扱いに慎重を要し、その後の分析や対応方針を左右します。

ハラスメントをあえて独立させない理由

ハラスメントは最も頻出する領域ですが、あえて独立したカテゴリにはしていません。
理由は、ハラスメント告発の多くが法的リスク・メンタルヘルス・個人特定のいずれかを含むためです。
ハラスメントを独立させると判定基準が重複し、境界が曖昧になります。

3つのリスク軸で判定することで、ハラスメント関連の記述も重複なく確実に拾い上げられます。

当社が推奨するAIが「勝手に判断しない」設計

ここまでの内容だけを見ると、「AIに自由記述を分類させるだけ」のように見えるかもしれません。
しかし、当社の方法は AIに判断を丸投げする分類ではありません。

調査スキームは次の3つの層で構成されています。

1.当社・貴社ご担当者(外枠の固定)※何を、どの基準で抽出するかを人間が事前に設計する
2.AI(意味の整理)人間が設定した基準に沿って、テキストを機械的に分類する
3.貴社ご担当者(確からしさの判断)抽出結果の妥当性を人間が最終確認する

※判定基準は、サンプルをもとに貴社向けに調整してください。

今回のリスク抽出は、このうち 「AIによる意味の整理」 にあたります。
外枠となる判定基準を人間が先に固定しているため、AIが独自の解釈で「勝手に分類する」ことはありません。

過剰判定を防ぐための厳密なルール設計

リスク分類の精度は、ルール設計の厳密さで決まります。
AIが疑わしいものすべてにフラグを立ててしまう「過剰判定」を防ぐため、次の基準を設けています。

基準を厳密に設定することで、抽出結果の信頼性を高めます。

実際のプロンプト例

運用では、次のようなプロンプトでAIに分類を依頼します。
判定項目・ルール・出力形式をすべて明示している点がポイントです。
このプロンプトそのものが、前述の「外枠の固定」に該当します

あなたはテキスト分類システムとして動作する。
以下の基準に従い、各テキストを評価しフラグを出力する。

■ 判定項目
1. 法的リスク
訴訟、告訴、告発、弁護士、警察、労基署、損害賠償、
契約違反、逮捕、刑事・民事責任に関する記述
2. メンタルヘルスリスク
自殺、自傷、強い精神的不調、消失願望
3. 個人特定リスク
実名、役職付き人物、特定可能な個人への言及・批判・告発

■ 判定ルール
各項目は 0 または 1
0 = 該当なし / 1 = 該当あり
明確な文脈がある場合のみ 1
推測での過剰判定は禁止

■ 出力形式(厳守)
A1: [法的リスク, メンタルリスク, 個人特定リスク]
A2: [ , , ]
A3: [ , , ]

<出力イメージ>

まとめ

調査終了後、この方法を実施することで、わずか30分で、

などを一気に把握できます。

自由記述は、組織のリスク管理において重要な情報源です。
その一次処理を、人間が設計した基準のもとでAIに担わせる。
これが、AI時代における調査スキームの自然なあり方だと当社は考えています。

調査結果を活用し、対応の遅れから取り返しのつかない状態になる前に、 まずは先手を打ってください。

【補足】AIも人間も見逃しは起きます

本記事で紹介した初動リスクスクリーニングは、「完璧に拾う」ことを目的としていません。

人間が読んでも見逃しは起き、AIも同様に見逃しは起きます。
本記事をAIで判定したところ、2026年7月時点の見逃し率は 10〜25% と推計されました。

という傾向があります。

これは「推測禁止のため、グレーは意図的に0判定している」ことが要因です。

生成AIの性能は今後も向上するため、精度は適宜確認しながら、「完全ではない前提」で安全に運用することを推奨します。

本記事は初動対応(リスクスクリーニング)に特化しています。
分析・カテゴリ設計・クロス集計などの詳細手法については、別稿で解説します。

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