生成AIの出力形式が変わっても、ホテルがやることは変わらない【顧客接点設計 第3回】

2026/10/05

AIが画像や動画、地図を活用する時代になっても、ホテルが取り組むべきことは変わりません。SNS、口コミ、Googleビジネスプロフィール、公式サイトなど顧客接点の情報を整備し、将来のAI活用にも対応できる情報管理の考え方を解説します。

前回までのおさらい

第2回「生成AIは旅前のGoogle検索を置き換えるのか」では、旅行前にAIがどのように使われているかをテーマに、読売広告社と宿研の2つの調査を取り上げました。AIは、これまでの蜘蛛の巣型の顧客接点に代わるものではありません。さまざまな接点につながる、新しい入口です。今回は、AIが画像や動画も使うようになったとき、ホテルに何が求められるのかを考えます。

旅行者は、AIに旅程やホテル選びを相談したあとも、GoogleマップやSNS、口コミ、公式サイトを確認してから最終判断をしています。ホテルに必要なのは、AIだけを意識した対策ではなく、それぞれの接点を整え、どこを見ても情報が食い違わないようにすることでした。

では、その先はどうなるのか

では、AIが旅行情報を文章だけでなく、画像や動画、地図、操作できる画面などを組み合わせて見せるようになったら、ホテル側の対応も変わるのでしょうか。ここでいう「操作できる画面」とは、利用者が選択したり、条件を変えたりしながら情報を確認できる表示です。

その変化は、すでに始まっています。2026年5月のGoogle I/O 2026では、Google検索のAIモードについて新しい方針が示されました。質問に応じて、画像や地図、シミュレーションなどを組み合わせ、一人ひとりに合った「操作できる画面」をその場で作るというものです。また、同年3月には、NotebookLMに「Cinematic Video Overviews」が追加されました。資料をもとに、解説動画を作る機能です。

どちらも、旅行検索のためだけの機能ではありません。今後、この形が主流になると決まったわけでもありません。ただし、AIの回答が文章だけでなく、画像や動画、操作できる画面へ広がっている例として参考になります。

参考:

Google I/O 2026(2026年5月)における検索AIモードの発表

https://blog.google/products-and-platforms/products/search/search-io-2026

NotebookLM「Cinematic Video Overviews」機能追加(2026年3月)

https://blog.google/innovation-and-ai/products/notebooklm/generate-your-own-cinematic-video-overviews-in-notebooklm

生成AIは、なぜ画像や動画を使うようになるのか

AIは、文章を作る機能から広まりました。今は、画像や動画、地図なども扱うようになっています。質問に応じて内容を組み合わせ、利用者が操作できる画面を作る機能も増えています。

旅行の魅力は、文章だけでは伝えきれません。客室の雰囲気や食事、周辺の景色は、画像や動画があると伝わりやすくなります。また、移動ルートは、地図があると分かりやすくなります。

旅行では、画像や動画の役割がさらに大きくなるでしょう。そのため、AIがどのような形で情報を見せても使えるように、もとになる写真や動画を整理しておきます。

新しい「AI対策」は必要なのか

では、ホテルは何をすればよいのでしょうか。新しい対策を増やす必要はありません。写真や動画をため、SNSを更新し、口コミを確認して返信します。今ある情報を整え、更新を続けることが基本です。

第2回で見たように、旅行者はAIを使ったあとも、GoogleマップやSNS、口コミ、公式サイトを確認します。AIの見せ方が変わっても、もとになる情報は同じです。今ある接点を整え、情報を更新し続けることが、将来への備えになります。

今やるべきことは、何も特別ではない

まずは、次の取り組みを続けていきましょう。

  • SNSに写真を継続的に投稿する
  • 客室・食事・館内・周辺観光の写真を蓄積する
  • Googleビジネスプロフィールを整備する
  • 口コミを管理し、返信を行う
  • 公式サイトの情報を更新する
  • アクセス・周辺情報を整理する

どれも、今の顧客接点を整えるために必要な取り組みです。第2回で紹介した「AIを使ったあとに確認される場所」とも重なります。

情報を、あとから使える形で残す

ここからは、写真や動画、口コミ、公式サイトなど、ホテルが持つ情報に絞って考えます。

情報を集めるだけでは、十分ではありません。ホテルの現場では、次のような問題が起きています。

  • 季節や客室タイプごとに撮影計画を持つ
  • 撮影日、撮影場所、写っているものなどの情報を記録する
  • 写真・動画を後から探せるように整理する
  • 宿泊者の投稿を紹介するときは、事前に許可を得る手順を決める

今ある写真や動画、文章、アクセス情報は、あとから探して使える形にしておきましょう。AIが今後、どの情報をどう使うかは分かりません。だからこそ、特定のサービスに合わせるより、自社の情報を整理し続ける方が変化に対応しやすくなります。

まとめ

公式サイトやSNSを更新し、写真や動画をため、口コミに対応する。まずは、今ある顧客接点を整えることが基本です。AIの見せ方が変わっても、ホテルが持つ情報の大切さは変わりません。必要なときに使える形で情報を残すことが、これからの変化への備えになります。

旅行者が必要とするのは、ホテルの情報だけではありません。周辺でできることや移動方法、近くの施設などの情報も必要です。今後は、こうした情報をAIが使いやすい形で整え、組み合わせて見せる方法も考える必要があります。このテーマは、ホテルが持つ情報の整理とは分けて、別の記事で取り上げます。

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