Forward Revenue Management

市場構造から価格を設計する、
レベニューマネジメント

日々の競合価格を追いかけるだけでなく、市場構造をあらかじめ理解して価格レンジを“設計”しておく ——
それが「Forward Revenue Management」という考え方です。
このページでは、曜日別の市場構造を可視化しながら、収益の取りこぼしを防ぐ運用の考え方をご紹介します。

Market Structure

全国平均では水曜日が安い。
伊豆でも同じなのか?

全国平均を見ると、水曜日の宿泊単価が最も低くなる傾向があります。
ところが、伊豆エリアでは同じ動きにはなっていません。
伊豆では火曜日が最も低く、水曜・木曜もほぼ同水準です。

大人2名(朝食・夕食)の価格中央値:2025/8から2026/7
¥25,000 ¥30,000 ¥35,000 ¥40,000 ¥32,640 ¥35,595 ¥30,124 ¥33,032 ¥29,673 ¥32,792 ¥29,400 ¥32,902 ¥29,855 ¥32,926 ¥31,098 ¥34,000 ¥36,871 ¥41,540
  • 全国
  • 伊豆エリア

この背景には、曜日ごとの需要差だけでなく、旅館の定休日、販売在庫の出方、連泊需要、週末前の需要形成など、地域特有の需給構造が影響している可能性があります。

同じ「平日」でも、需給の出方は違う

火曜・水曜・木曜は同じ「平日」であっても、需要や供給の出方が異なる可能性があります。
単に「平日」という括りで一律価格を設定・販売していると、こうした構造を活かしづらくなります。

Common Pattern

多くのホテルで
見られるパターン

多くのホテルのRM業務は、以下のような流れになっていることが多いようです。

01

毎朝、競合価格を確認する

02

残室数を見て、値上げ・値下げを判断する

03

翌日も同じ作業を繰り返す

これは 「Reactive RM(日々の価格をコントロールする運用)」 と呼ばれる考え方で、現場での即応力という意味では有効な手法のひとつです。
一方で、「未来の価格を事前に設計しておく」 というアプローチもあります。

Two Approaches

RMの2つの考え方

Reactive RM

日々の価格をコントロール = 戦略運用

  • 今日の予約状況・競合価格を見て価格を動かす
  • 市場の変化にその都度対応する
  • 現場判断のスピードが求められる

Forward RM

未来の価格を設計する = 戦略設計

  • 市場構造を分析し、あらかじめ価格レンジを設計しておく
  • 四半期ごとの戦略計画をベースに動く
  • 計画との差異が出た時に調整する

どちらが正しいというわけではなく、両方を組み合わせることで、より安定した価格運営につながるという考え方です。
外資系チェーンや大手ホテルグループでは、Forward RMを上流に置いた運営 が多く見られます。

RM Stages

あなたのホテルのRMは
今どのステージですか?

レベル 状態 特徴
Level 1 勘・日次調整 OTA目視確認、その場限りの価格変更
Level 2 市場データRM 競合・市場・在庫の可視化、曜日別把握
Level 3 ★ 構造RM(Forward RM) 価格レンジ設計・四半期RM計画の体系化
Level 4 経営・投資・ポートフォリオRM 複数施設最適化、マクロ分析、投資判断支援

多くのホテルは、Level 1〜2の段階でRM業務が完結していることが多い印象です。

Simple

Forward RMの考え方は
シンプルです

難しく思えるかもしれませんが、基本的な考え方はシンプルです。

火から木曜は需要が弱めになりやすい

弱気のレンジを事前に設定、連泊への対応を強化

地域の外国人比率が高まっている

Booking.comなど海外OTAの露出を事前に強化

イベント日は需要が高まりやすい

特別戦略を前もって組んでおく

こうした市場の特性を把握し、事前に設計してサイトコントローラー等に設定しておくというアプローチです。
「わかってはいるけど体系化できていない」 という状態が、日々の調整に戻ってしまう主な原因のひとつと考えられます。

Practical Flow

実務の流れ(一例)

STEP1

市場構造を把握する

自社実績・競合価格・市場供給・イベント情報の整理

STEP2

価格レンジを設計する

曜日別価格戦略・連泊戦略・販売方針の設計

STEP3

販売システムへ反映する

サイトコントローラーに設定・反映

STEP4

差異を確認し補正する

Booking Curveとの差異確認・市場変化への対応

Price Analyzer

Price Analyzerの役割

Price Analyzer の管理画面(担当ホテル+競合を1画面で統合表示)

Price Analyzerは、競合価格を見るためだけのツールではありません。

市場構造を可視化し、Forward RMの実行を支援するツールです。

Global Framework

「Strategic RM(戦略)」
「Tactical RM(戦術)」との違い

本記事で紹介した「Forward RM」「Reactive RM」は、グローバルRM理論で用いられる 「Strategic(戦略)」「Tactical(戦術)」 の枠組みを、日本のホテル・旅館の実務に合わせて再定義したものです。
海外チェーンが採用するRM手法を、現場で実践しやすい形に整理しています。

Conclusion

最後に

RMを「日々の運用」から「戦略を設計し、日々の運用」へ ——
という発想の転換が、Forward RMの出発点です。

競合価格を追い続けるスタイルを否定するわけではありません。
ただ、市場構造をあらかじめ理解したうえで価格レンジを設計しておくことで、日々の運営がより安定する可能性があります。

まずは曜日別の市場構造を可視化するだけでも、収益の取りこぼしを防ぐ第一歩になります。

次の四半期、半年、1年後の収益を左右するのは、「今、どれだけ未来を設計できるか」です。

ぜひForward RMを前提とした運用をご検討ください。

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