AI×型(テンプレート)で営業担当でなくても営業資料が作れる時代へ【第4回AI時代の資料作成】

AI時代の資料作成AI時代の業務設計

2026/08/24

AIが営業資料の土台を作ることで、営業担当者以外も資料作成に参加できるようになりました。AIによる効率化ではなく、職務の再設計と人材活用の拡張という視点から、実際の改善事例を紹介します。

AIは60点の営業資料を作ると、人の仕事はどう変わるのか

営業資料8枚を、人はどう仕上げたか

前回、AIが解析・構成した8枚の営業資料が、指示通りできあがる様子をご紹介しました。今回は、「その8枚を元に、人の手によって営業資料をどう仕上げていくのか」をご案内いたします。
結果として、営業資料は8枚から12枚になりました。
人が行ったのは文章の書き直しではなく、営業資料として必要なページを追加する作業でした。

両者を比べると、その違いがよく分かります。

NOAI版(8枚)人による最終版(12枚)備考
タイトルタイトル対象読者・社名を追記
課題(1枚に集約)手作業の4つの限界(1枚)3項目→4項目に深掘り
なし既存ツール・統計データの課題新規追加
なしプロフェッショナルの皆さまにご利用いただいています新規追加
(ペルソナ3→4種)
従来手法との違い(自社vs他社)従来ツール・統計データとの違い(3種の比較)2社比較→3社比較に拡張
提供する価値(3カラム)提供する価値(4カラム)3項目→4項目に整理し直し
データ推移グラフさらに一歩先へ(AIレポート・データ一覧)内容が別物に変化
なしご利用イメージ(5ステップ)新規追加
なし画面イメージ新規追加
Before/After導入事例(Before/After+お客様の声2件)部署名付き証言を追加
なし料金プラン新規追加
まとめ・CTA会社概要役割が変化

増えた5枚(③既存ツールの限界、④ペルソナ、⑧ご利用イメージ、⑨画面イメージ、⑪料金プラン)に共通するのは、どれも「AIの8枚構成には、そもそも選択肢として上がっていなかったテンプレート」だという点です。

46種類のライブラリの中から、AIが選ばなかった型を人が追加しました。

何が追加されたのか、2つだけご紹介します

「MarketAnalyzer」の紹介資料では、「誰をターゲットにしているのか」を表現するページを追加しました。

AIが作成した8枚にも対象顧客への言及はありましたが、独立したページとしては含まれていませんでした。

人の手が入った版では、運用代行会社・デベロッパー・J-REIT運用会社に加えて「各種コンサルティング・調査会社」が4つ目のペルソナとして追加されており、対象読者の解像度を上げています。

MarketAnalyzer_Ver1_P4「MarketAnalyzer」は、プロフェッショナルの皆さまにご利用いただいています_ペルソナについて
MarketAnalyzer_Ver1_P11料金プラン

料金も、AIの8枚構成には最初から存在しませんでした。
第2回の記事でご紹介したNotebookLM版の失敗例では、料金の内訳が抜け落ちました。今回は消えたのではなく、そもそも構成案に含まれていませんでした。
営業資料としては、後から補う必要がある情報でした。

改善したのは、営業担当ではなかった

今回、加筆を行ったのは営業担当者ではなく、普段はアンケート調査の校正を担当しているメンバーでした。

なぜ、アンケート調査の校正担当者が資料作りに参加できたのか。

それは、AIが営業資料として一定水準の土台を作っていたためです。

営業経験のない人が、ゼロから営業資料を組み立てるのは容易ではありません。しかし、構成・文章・データの骨格がすでにできあがった状態からであれば、元のWebページを参考に「何が足りないか」をチェックする作業が中心になります。

営業経験がなくても、「料金プランのページが必要」「ペルソナのページが必要」という判断と、46種類のテンプレートの一覧があれば、どのように表現すればよいかを判断できます。

テンプレートがなければ、「なんとなく物足りない」という感覚で終わっていたものが、型があることで「ペルソナがない」「料金がない」という具体的な不足項目に変わりました。

さらに、その先の磨き上げ自体にも、AIの支援を受けることができます。

弊社担当者の作業を終えての感想

これまで営業資料を作った経験がなく、白紙の状態から使える資料に仕上げることは難しかったと思います。でも、すでにAIがある程度の骨組みを作ってくれていたため、私はWebページとの整合性を確認するところから始められ、普段やっている業務の延長のように抵抗感なく進められました。
また、46種類のテンプレートがあったことで、料金ページやペルソナなど不足している要素を見つけやすく、レイアウトやデザインに悩まずパズルのピースをはめ込むような感覚で作業することができました。

今回皆様に一番お伝えしたいこと

今回お伝えしたいのは、人が90点の営業資料に仕上げたことよりも、AIが一定水準の土台を作ったことで、校正担当者も資料作りに参加できるようになったことです。

AIを業務に組み込むことで、これまで専門担当者に集中していた工程を分解し、「どこまでなら別の担当者でも対応できるか」を判断できるようになります。

これは資料作成に限った話ではありません。

AIを前提に業務プロセスを見直すと、「この工程は、専門知識がなくても引き継げる」という業務の切り分けが可能になります。限られた専門人材を本当に必要な工程に集中させ、それ以外の工程はより柔軟な人員配置で回す。

AIによる業務の見直しは、業務分担や人員配置の見直しにもつながります。

次回予告

ここまでは「AIが作り、人が直す」という2層の話でした。次回は、この工程の後ろに、もう一段のチェックを組み込めるかを検証します。

作成した資料を別のAIに読ませて抜け漏れを確認させる、あるいはCopilotのレビュー機能で完成した資料そのものを見直させる。AIに作らせるだけでなく、AIを使ってAIの成果物を検査するという、品質管理の設計についてご紹介します。

ここまでの流れ

ここまでの4回では、次のような流れを実際の業務に当てはめて検証してきました。

  • 第1回:企業らしさ(CI)を反映しなければ、AIが作った資料は「どこか自社らしくない」ものになる
  • 第2回:AIの品質はプロンプトだけでなく、情報の抜け漏れを防ぐテンプレートの品質にも左右される
  • 第3回:枠単位まで具体化すれば、AIはテンプレートに沿って高い精度で資料を組み立てられる
  • 第4回:AIが一定水準の土台を作ることで、専門外の人材でも資料作りの一部に参加できる

この一連の流れを支えているのは、生成AIだけではありません。弊社が長年、調査レポートや報告書づくりの中で培ってきた「情報をどう構造化し、標準化するか」というノウハウがあります。

AI時代になって重要性が薄れるのではなく、こうした構造化の力が、AIを業務に組み込むための土台となっています。

私たちの現場では、AIによって専門職以外のメンバーも資料作成工程の一部に参加できるようになりました。AI活用は人を減らすためというより、限られた専門人材をより重要な判断業務に集中させるための手段だと考えています。

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