AIが作った営業資料の違和感の原因|コーポレートアイデンティティ・ビジュアルアイデンティティ【第1回AI時代の資料作成】

AI時代の資料作成
AI時代の業務再設計(BPR)

2026/08/08

第1回AI時代の資料作成_AIが作った営業資料の違和感 企業らしさ(Corporate Identity(CI))をAIへ引き継ぐテンプレート設計の原因 

企業らしさ(Corporate Identity(CI))をAIへ引き継ぐテンプレート設計

はじめに

生成AIを活用すれば、営業資料や報告書のたたき台を短時間で作成できます。

しかし完成した資料を見たとき、
「内容は正しい。でも、何か自社らしくない。」
と感じたことはないでしょうか。

あるいは、
「AIで作った資料だな」
という印象を受けた経験があるかもしれません。

生成AIの普及により、資料作成の効率は大きく向上しました。一方で、似たような構成や表現の資料が増え、企業ごとの特徴が伝わりにくくなるケースも見られるようになりました。

弊社では、その違和感の背景にコーポレート・アイデンティティ(CI) の反映不足があると考えています。

AI時代に差別化のポイントとなるのは、単に文章を作ることではありません。
「企業らしさをどのように成果物へ反映するか」
そこに価値が移り始めています。

本記事では、コーポレート・アイデンティティ(CI)の考え方を踏まえながら、生成AIを活用しつつ、自社らしい営業資料や報告書を作成するための方法をご紹介します。

コーポレート・アイデンティティ(CI)とは

コーポレート・アイデンティティ(Corporate Identity:CI)とは、企業理念やビジョン、事業内容、社会的責任などを整理し、企業としての存在価値を社内外へ一貫して伝える考え方です。

一般的にCIは、次の3つの要素で構成されます。

コーポレート・アイデンティティ(CI)とは
マインド・アイデンティティ(MI)
企業理念やビジョン、存在意義など、企業の「考え方」を示します。

ビヘイビア・アイデンティティ(BI)
企業理念をどのような行動として実践するかを示す行動指針です。

ビジュアル・アイデンティティ(VI)
ロゴ、ブランドカラー、フォント、デザインルールなど、企業らしさを視覚的に表現するための仕組みです。
マインド・アイデンティティ(MI)企業理念やビジョン、存在意義など、企業の「考え方」を示します。
ビヘイビア・アイデンティティ(BI)企業理念をどのような行動として実践するかを示す行動指針です。
ビジュアル・アイデンティティ(VI)ロゴ、ブランドカラー、フォント、デザインルールなど、企業らしさを視覚的に表現するための仕組みです。

本来、営業資料にはMI・BI・VIのすべてが反映されるべきです。

今回は、生成AIとの相性が良く、実務で活用しやすい「ビジュアル・アイデンティティ(VI)」に焦点をあてます。

AIが作った資料に違和感が残る理由

生成AIは、

下記を得意としています。

  • 課題の整理
  • 解決策の提案
  • 情報の要約
  • 文章の構造化

一方、企業独自の表現ルールまでは

理解していません。

  • ブランドカラーの使い方
  • フォントの選択
  • ロゴの配置
  • グラフ表現のルール
  • スライドデザインの考え方

その結果、【内容は正しい】にもかかわらず、
『どこの会社の資料か分からない』、『どこかで見た資料と似ている』という状態が生まれます。

弊社では、このような違和感の大きな要因の一つがビジュアル・アイデンティティの不足にあると考えています。

ビジュアル・アイデンティティ(VI)をPowerPointへ反映する

企業ブランドを重視する企業では、ビジュアル・アイデンティティが細かく定義されています。

例えば、コカ・コーラ、IBMといった外資系企業のように、

  • ロゴの配置
  • タイトル位置
  • ブランドカラー
  • フォント
  • グラフ表現

まで体系的にルール化されているケースもあります。

弊社が調査レポートや営業支援資料を作成する際も、ビジュアル・アイデンティティ(VI)が明確に定義されている企業様については、指定フォーマットに沿って報告書を作成しています。 一方で、ビジュアル・アイデンティティ(VI)が十分に整理されていない企業様も少なくありません。

その場合、これまでは、

  • コーポレートサイト
  • 会社案内
  • 提案資料
  • 名刺

などからブランドイメージを把握し、 PowerPointのスライドマスター機能を活用しながら、

  • カラー
  • フォント
  • レイアウト

を調整して資料を作成してきました。
これまでは、デザインを体系的に標準化する取り組みは限定的でしたが、生成AIの活用をきっかけとして、このデザインルールそのものの体系化を進めています。

AI時代におけるさらなる進化

生成AIが普及したことで、弊社のアプローチも変わり始めています。

(1)PowerPointテンプレートの体系化

営業資料や調査報告書には、繰り返し利用される情報構造があります。

例えば、下記のようなものがあげられます。

  • Before / After
  • FAQ
  • KPIダッシュボード
  • 比較表
  • SWOT分析
  • ロードマップ
  • ピラミッド構造
  • グラフ・図表
  • 課題→原因→対策

弊社では、こうした情報構造を約40種類に整理し、PowerPointテンプレートとして体系化しています。

重要なのは、単にデザインをテンプレート化しているのではなく、情報の整理方法そのものをテンプレート化している点です。

※【資料ダウンロード】で弊社標準の「PowerPointスライドテンプレート」をダウンロードしていただけます。ぜひご活用ください。

(2)お客様のCIに合わせたカスタマイズ

次に、お客様企業のCIを整理し、テンプレートへ反映します。

具体的には、

  • ホームページ
  • 会社案内
  • 名刺
  • 提案資料
  • IR資料

などを参考に、

  • ブランドカラー
  • フォント
  • ロゴ配置
  • デザインルール

を整理します。

そして約40種類のテンプレートに対して、お客様のCIを反映します。

資料作成の流れは次のようになります。

1

お客様のホームページや会社案内、提案資料などをもとに、生成AIを活用してコーポレート・アイデンティティ(CI)を分析します。

2

その分析結果からブランドカラー、フォント、ロゴ配置などのビジュアル・アイデンティティ(VI)を整理し、PowerPointテンプレートへ反映します。

3

生成AIがテンプレートを活用して営業資料や調査報告書を作成します。

生成AIが企業らしさを自動的に理解しているわけではありません。企業らしさを事前にテンプレートへ組み込むことで、AIもそのルールに沿って資料を作成できるようになります。

テンプレートを活用した資料作成

弊社では、お客様とデザインルールについて事前に合意したうえで、営業資料や調査報告書を作成します。
報告書のまとめを作成する場合も、生成AIが資料作成を支援する場合も、共通のテンプレートを利用します。

その結果、下記効果が期待できます。

  • 企業らしい表現を維持しやすい
  • 担当者が変わっても品質を保ちやすい
  • 資料全体の統一感を維持できる
  • AI活用時もブランドとの整合性を保てる

AI時代に重要なのはプロンプトではなく業務の構造化

生成AIの活用については、「良いプロンプトを書けば品質が上がる」という話がよく紹介されます。
もちろんプロンプトは重要です。

しかし弊社は、その前に成果物の構造を設計することが重要だと考えています。

AIは短時間で資料のたたき台を作成できます。しかし、企業固有のブランドや価値観まで理解しているわけではありません。

だからこそ、コーポレート・アイデンティティ(CI)を反映した、

  • PowerPointテンプレート
  • グラフテンプレート
  • Wordフォーマット
  • デザインルール

といった共通基盤を整備したうえで、生成AIを活用することが重要になります。

次回予告

次回『「デザインの型」から「情報スロット」としてのテンプレート化【第2回AI時代の資料作成】』では、生成AIで資料を作成した際になぜ情報の抜け漏れが起きるのかを解説します。あわせて、弊社が46種類のPowerPointテンプレートを整備している理由と、「デザインの型」ではなく「情報の型」としてのテンプレート設計についてご紹介します。

まとめ

生成AIが営業資料や報告書の作成を支援する時代になりました。

しかし、企業らしさまで自動的に表現してくれるわけではありません。

弊社はこれまで、

  • 調査レポート構成
  • グラフテンプレート
  • Wordフォーマット
  • PowerPointフォーマット

などを通じて、情報を構造化してきました。

生成AIの品質はAIモデルだけで決まるものではありません。
どのようなテンプレートや情報構造を用意するかによって、成果物の品質は大きく変わります。

また、企業らしさを設計するのは人間です。
生成AIを活用する時代だからこそ、コーポレート・アイデンティティ(CI)を反映したテンプレートという共通基盤が品質管理の重要な役割を果たします。

AI時代に重要なのは、AIを使うことではなく、AIが活用しやすい情報構造と品質基盤を設計することです。弊社では、品質基盤を確立したうえで、報告書などの作成のご支援を行っています。

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