ホテル・旅館業の生成AI利用率は35.0%、活用目的は、「業務効率化」が91.2%と最も高く、「経営に関するデータの分析」が48.0%、「チラシ・SNS等の広報・集客」が44.1%
はじめに
日本政策金融公庫が2026年6月に公表した「生成AIの活用に関するアンケート調査結果」によると、ホテル・旅館業で生成AIをすでに活用している企業は35.0%でした。「活用したことはないが、活用を検討している」19.9%を加えると、生成AIの活用に前向きな企業は54.8%にのぼります。
この記事では、ホテル・旅館業の回答結果を確認し、AIが使われている業務と、導入前に整理しておきたい点を紹介します。
調査結果を確認する
調査の対象は生活衛生関係営業3,290社で、2026年3月上旬に訪問形式で実施されました。有効回答は3,134社、回答率は95.3%です。以下では、このうちホテル・旅館業186社の回答を確認します。
| 調査時点 | 2026年3月上旬 |
| 調査方法 | 訪問調査 |
| 調査対象 | 生活衛生関係営業3,290企業 |
| 有効回答企業数 | 3,134企業(回答率95.3%) |
| 内) ホテル・旅館業 | 186企業 |
Q1.生成AIの活用状況(n=186)
「大半の業務で活用している」が1.1%、「一部の業務で活用している」が33.9%、「活用したことはないが、活用を検討している」が19.9%で、これらを合わせて『活用に前向き』と回答した割合は54.8%でした。
また「活用したことがなく、今後も活用する予定はない」が26.3%、「分からない」が18.8%でした。

Q2.生成AIを活用している業務(複数回答、n=102)
Q1で「大半」「一部」「検討している」と回答した企業が対象
「文章の作成・要約」が74.5%と最も高く、「情報収集」が62.7%、「アイデア出し」が50.0%、「データの収集・分析」が49.0%と続いています。
「コード生成などプログラミング補助」は6.9%で、他の項目より低い割合でした。弊社には、市場データサービスを使い、レベニューマネジメントの仕組みを自社で構築したいという相談も寄せられています。生成AIのコード生成支援により、「ツールを買う」以外に、「データを使って自社で組む」という方法も検討しやすくなりました。

Q3.生成AIを活用する目的(複数回答、n=102)
Q1で「大半」「一部」「検討している」と回答した企業が対象
「業務効率化」が91.2%と最も高く、「経営に関するデータの分析」が48.0%、「チラシ・SNS等の広報・集客」が44.1%、と続いています。

Q4.生成AI活用の課題(複数回答、n=102)
Q1で「大半」「一部」「検討している」と回答した企業が対象
「活用するノウハウが不足している」が62.7%と最も高く、「生成された情報の正確性に不安がある」が48.0%、「活用できる人材が不足している」が47.1%、「企業内でルールが整備できていない」が29.4%、と続いています。

Q5.生成AI活用の効果(n=65)
Q1で「大半」「一部」と回答した企業が対象
「かなり効果があった」は26.2%、「やや効果があった」は55.4%で、合わせて81.5%が『効果があった』と回答しました。

※
# 日本政策金融公庫「生成AIの活用に関するアンケート調査結果(ホテル・旅館業)2026」
## 調査概要
| 項目 | 内容 |
|--------|--------|
| 調査実施 | 日本政策金融公庫 |
| 調査時点 | 2026年3月上旬 |
| 調査方法 | 訪問調査 |
| 調査対象 | 生活衛生関係営業 3,290企業 |
| 有効回答企業数 | 3,134企業(回答率95.3%) |
| ホテル・旅館業回答数 | 186企業 |
---
## 1. 生成AIの活用状況
**対象:ホテル・旅館業(n=186)**
| 項目 | 割合(%) |
|--------|--------:|
| 大半の業務で活用している | 1.1 |
| 一部の業務で活用している | 33.9 |
| 活用したことはないが、活用を検討している | 19.9 |
| 活用したことがなく、今後も活用する予定はない | 26.3 |
| 分からない | 18.8 |
### 集計値
| 指標 | 割合(%) |
|--------|--------:|
| 活用中(大半+一部) | 35.0 |
| 活用に前向き(活用中+検討中) | 54.9 |
---
## 2. 生成AIを活用している業務
**対象:「大半の業務で活用している」「一部の業務で活用している」「活用したことはないが、活用を検討している」と回答した企業(n=102)**
| 業務 | 割合(%) |
|--------|--------:|
| 文章の作成・要約 | 74.5 |
| 情報収集 | 62.7 |
| アイデア出し | 50.0 |
| データの収集・分析 | 49.0 |
| デザイン・画像の生成・編集 | 40.2 |
| 翻訳 | 39.2 |
| コード生成などプログラミング補助 | 6.9 |
| その他 | 3.9 |
---
## 3. 生成AIを活用する目的
**対象:「大半の業務で活用している」「一部の業務で活用している」「活用したことはないが、活用を検討している」と回答した企業(n=102)**
| 目的 | 割合(%) |
|--------|--------:|
| 業務効率化 | 91.2 |
| 経営に関するデータの分析 | 48.0 |
| チラシ・SNS等の広報・集客 | 44.1 |
| インバウンド対応 | 38.2 |
| 人手不足対策 | 34.3 |
| 新商品・新サービスの開発 | 32.4 |
| 契約書等法務関連手続きの補助 | 14.7 |
| その他 | 2.9 |
---
## 4. 生成AI活用の課題
**対象:「大半の業務で活用している」「一部の業務で活用している」「活用したことはないが、活用を検討している」と回答した企業(n=102)**
| 課題 | 割合(%) |
|--------|--------:|
| 活用するノウハウが不足している | 62.7 |
| 生成された情報の正確性に不安がある | 48.0 |
| 活用できる人材が不足している | 47.1 |
| 企業内でルールが整備できていない | 29.4 |
| 導入・維持費用の負担が大きい | 16.7 |
| 情報漏えいにつながるリスクがある | 14.7 |
| 著作権・プライバシー保護など法的リスクがある | 11.8 |
| 生成AIを活用できる業務が見当たらない | 4.9 |
| その他 | 2.9 |
| 特に課題はない | 12.7 |
---
## 5. 生成AI活用の効果
**対象:「大半の業務で活用している」「一部の業務で活用している」と回答した企業(n=65)**
| 項目 | 割合(%) |
|--------|--------:|
| かなり効果があった | 26.2 |
| やや効果があった | 55.4 |
| 効果があった(計) | 81.5 |
| どちらともいえない | 16.9 |
| あまり効果がなかった | 1.5 |
| 効果がなかった | 0.0 |
---
## 要点
- ホテル・旅館業で生成AIを活用している企業は35.0%
- 活用を検討中の企業を含めると54.9%が活用に前向き
- 活用業務は「文章作成・要約(74.5%)」「情報収集(62.7%)」が中心
- 活用目的は「業務効率化(91.2%)」が突出
- 「経営に関するデータ分析(48.0%)」も主要な利用目的
- 最大の課題は「ノウハウ不足(62.7%)」
- 活用企業の81.5%が効果を実感
---
出典:日本政策金融公庫「生成AIの活用に関するアンケート調査結果(生活衛生関係営業の景気動向等調査・特別調査結果 2026年1~3月期)」
生成AIの活用領域をどう考えるか
ここまでの調査結果は、情報収集、文章作成、データの収集・分析など、生成AIを使う作業の種類を示したものです。宿泊施設での導入を検討する際は、フロント、顧客対応、料金設定など、具体的な業務に置き換えて考える必要があります。以下では、調査結果から導いた分類ではなく、ホテル・旅館業界で扱われている活用例を7つの領域に分けて紹介します。
フロント業務の省力化
- チェックイン・チェックアウトの手続きを、顔認証や端末入力によって省力化する
多言語チャットボットによる顧客対応
- 予約、施設案内、周辺観光情報など、定型的な問い合わせへの回答を補助する
清掃・館内管理の支援
- 客室の利用状況に応じて清掃の優先順位を決めるほか、IoTセンサーと連携して館内設備を管理する
セキュリティ・不正検知の支援
- 監視カメラの映像解析や、予約時の不正な取引の検知を補助する
レベニューマネジメント・料金判断の支援
- 需要や競合価格などのデータをもとに、販売価格を検討する
BI・経営データ分析の支援
- 売上、稼働率、予約、顧客情報、市場データなどを統合し、AIによる分析や意思決定を支援する
CRMとパーソナライズ
- 過去の宿泊履歴や嗜好データをもとに、個々の宿泊客に合わせた提案やプロモーションを行う
7つの領域は、対象となる業務、必要なデータ、導入方法がそれぞれ異なります。同じAI活用でも、既存システムとの連携が必要な領域と、単独のツールから試せる領域があります。
AI導入の前に、目的を決める
AIの導入は手段であり、先に解決したい課題を決める必要があります。
Q4では、「活用するノウハウが不足している」が62.7%で、最も多い課題でした。先ほど挙げた7つの領域は、いずれもAI活用に含まれますが、対象業務と目指す成果は異なります。
この記事では、目指す成果を「効率化」と「収益拡大」の2つに分けて整理します。
効率化
- 同じ成果を、より少ない人手・時間で出す(フロント自動化、清掃最適化など)
収益拡大
- 同じ人手・時間で、より高い成果を出す(レベニューマネジメント、CRM・パーソナライズなど)
効率化と収益拡大の両方を狙う施策もあります。ただ、優先する目的を決めずにツールを比較すると、機能数や価格だけで評価しやすくなります。その結果、選んだツールが現場の課題に合わない可能性があります。
導入方法は、業務に特化したAIサービスと、ChatGPT、Claude、Copilot、Geminiなどの汎用的な生成AIに分けて考えられます。文章作成や情報整理など、汎用的な生成AIだけで対応できる業務もあります。
Q2で割合が高かった「文章の作成・要約」(74.5%)や「情報収集」(62.7%)は、専用ツールを導入しなくても、汎用的な生成AIで試せる業務です。まず、自施設の業務を分解し、汎用的な生成AIで対応できる範囲を確認します。そのうえで、不足する機能が明確になった段階で専用サービスを検討すれば、初期費用を抑えながら導入を進められます。
「経営に関するデータの分析」という目的
Q3では、「経営に関するデータの分析」が48.0%で、「業務効率化」に次いで2番目に多い活用目的でした。
この結果から、ホテル・旅館業では、文章作成などの業務効率化だけでなく、経営判断に使うデータの分析も生成AIの活用目的として認識されていることが分かります。
「経営に関するデータの分析」には、自施設の売上や稼働率、宿泊客の属性や行動、周辺の需要動向、競合施設の価格や販売状況など、複数の対象があります。BIは、PMS、予約システム、市場データなどを統合し、経営状況を確認するために使います。AIは、統合したデータの要約、傾向の抽出、予測や判断材料の提示を支援します。必要な仕組みは、分析したいデータと目的によって異なります。
弊社では、経営データ分析に必要な外部データの一つとして、競合施設の価格や販売状況を収集するPriceAnalyzerを提供しています。より広い市場分析や投資・運営判断に必要なデータは、MarketAnalyzerで提供しています。これらのデータは、自施設の売上、稼働率、予約情報などと組み合わせることで、料金判断や市場分析に利用できます。
PriceAnalyzerやMarketAnalyzerが提供するのは、経営データ分析に使うデータの一部です。自施設の売上、稼働率、予約情報などは、PMSや予約システムから取得する必要があります。必要なデータの粒度やシステム間の連携方法によって、適した構成は異なります。導入を検討する際は、分析したい内容を決めたうえで、必要なデータと既存システムを整理することが前提になります。
汎用的な生成AIで試せる業務から始める
Q5の結果を見る限り、生成AIを実際に活用している企業の効果実感は8割以上とすでに高い水準にあります。
文章作成、マーケティング、需要予測、価格判断では、必要なデータやツールが異なります。最初に試す業務を選ぶ際は、効率化と収益拡大のどちらを優先するかに加え、既存データの有無や人による確認が必要な範囲を整理します。
最初の試行としては、問い合わせへの返信文の下書きや、SNS投稿文の作成・確認などが考えられます。試した業務ごとに、作業時間、修正量、人による確認の必要性を確認すれば、次に活用範囲を広げるかどうかを判断できます。
Q2で「文章の作成・要約」が74.5%と最も高い割合となっていることからも、生成AIの活用を始める際の候補の一つとして考えやすい業務です。
出典:株式会社日本政策金融公庫「生成AIの活用に関するアンケート調査結果(生活衛生関係営業の景気動向等調査・特別調査結果 2026年1〜3月期)」(2026年6月3日公表)
日本政策金融公庫は、生活衛生関係営業を対象とした調査結果を四半期ごとに公表しています。
- 生活衛生関係営業のインバウンド対応に関するアンケート調査結果
- 生活衛生関係営業の設備投資に関するアンケート調査結果
- 生活衛生関係営業の雇用動向に関するアンケート調査結果
- 生活衛生関係営業の価格動向に関するアンケート調査結果
参照:
お問い合わせ・資料請求
各種サービスについてのご相談
その他お問い合わせはこちら
観光向けサービス・調査サービスの
資料ダウンロードはこちら